これまでのストーリーNecessity is the mother of invention.
必要は発明の母。
かつて受験勉強で1番苦手だったのは英語でした。
今頃になって当時暗記したこのフレーズをふと思い出したのは、これまでのことを振り返ってみた時に、その都度わが家が必要に合わせて新しいことを見つけてきたからかもしれません。
わが家のハルラボ商店の成り立ちを少しお話してみたいと思います。
2011年3月。あの震災当時、私たちは東京で暮らしていました。会社員の夫と専業主婦の私、そして小学校1年生の娘の三人家族。地震直後、慌てて小学校へ娘を迎えに行くと、いつも冷静な子が恐怖で小さくなって泣いていました。そして原発事故後から何だか体調が優れない夫と私。震災の少し前にそれぞれの母親を続けて癌で亡くした記憶も色濃く、自分達が健康でいなければ娘を守れないのでは、という不安。今、わが家に最も必要なのは地震や原発、放射能の心配がない場所での暮らしではないか?悩んで悩んで一年かかって見つけた答えが沖縄移住でした。家族旅行で数回訪れただけの知人もいない土地に、仕事も自宅も手放して移住したのは2012年5月。そろそろ人生折り返しの私たちに沖縄で何が出来るのだろう?時間だけは沢山あったので、ひとまず沖縄を知るため様々な場所に出かけました。そして、その一つに自然栽培農家さんの畑があって、度々お手伝いに行くようになりました。いつもお土産に頂く野菜たちは農薬も肥料も使っていないのにすごく立派で、しかもとびきり美味しい。ところが話を聞くと、形や大きさなどの問題もあって出荷先がなかなか無いと言います。なんともったいない!姿カタチなど関係なく、安全な野菜を必要としている人は沢山いるのに。そうだ八百屋さんを始めよう!私が使いたい調味料や食材も置いて、安心してご飯が作れる材料が全部そろうお店。沖縄に来て数ヶ月、添加物や放射能汚染の心配がなさそうな食材を求めて何軒も何軒もハシゴするのにちょっと疲れた頃でした。まさに、わが家にとって必要なお店を作ることにしたのです。
娘も学校帰りに立ち寄れるよう自宅近くに物件を見つけ、
低予算で始めるために出来るだけ自分達で内装工事をしました。
開店は2013年4月4日。その頃の沖縄には避難移住の方も多くいらしたので、口づてにご来店くださるお客様が日々増えていきました。また一方で、ご自分や家族の健康を気遣う地元のお客様も少しずついらっしゃるようになりました。
そうして毎日が忙しく帰宅してからの夕飯作りが億劫になり始めた頃、店内にキッチンがあれば夕飯を作って帰れるし、店頭の野菜や食材でお惣菜を作って販売できる、ということに気がつきました。そうだキッチンを作ろう!でも今の店舗では狭すぎて難しい。そこでキッチン付きの店舗探しが始まりました。私たちに適した移転先に出会うまで約2年。挫折しかけるほど時間がかかりました。
2019年3月移転オープン。広くなった店舗で、お惣菜販売も少しずつスタートしました。なにせ調理の仕事未経験ですから、ゆっくりゆっくり。お店に並ぶ美味しい野菜と本物の調味料のお陰で、お出しするお惣菜はごくありふれた家庭料理ながら少しずつリピートして下さる方が増えていきました。無農薬野菜を使った無添加のお惣菜はありそうで中々なくて、働くお母さんをはじめ調理に手をかられないけど安全なお惣菜を求めている方が多くいらっしゃることに気が付きました。ならば「冷凍やレトルトなどにしてお家にストックしておけるようにしたら便利なはず!」ということで、今度は店舗とは別に食品加工が出来る場所を探すことになりました。まもなく場所は見つかりましたが、半導体不足により機材類が中々届かず待ちくたびれること半年。ようやく2023年1月、加工場が完成。この加工場で、わが家が食べたいもの、そしてお客様が喜んで下さるものを「必要」に合わせて作れるようになりました。
そして店舗と加工場は近い方が便利ということで、2024年1月、店舗は那覇市古島に3度目の移転。開業以来、店頭に並べる商品はわが家が食べたいと思う独自の基準で選んでいます。野菜は基本的に地元の自然栽培や無農薬無化学肥料栽培の信頼できる農家さんから仕入れ、有機肥料を使用している場合は産地など含め具体的に内容をお聞きするようにしています。季節的に不足する野菜は西日本や北海道のお付き合いのある農家さんから送っていただいています。また、調味料は出来るだけ昔ながらの製造工程を経ているものを中心に選び、その他の食品含め可能な限り原材料の産地や加工地を確認して、原発事故の影響がないと思われるエリアの物を扱うようにしています。そんなこだわりの食材だけで作るオリジナル加工食品は今後少しずつアイテムが増えていく予定です。
どうぞ末永くお付き合い頂けたら幸いです。
わが家のハルラボ商店
わが家のハルラボ商店4ヶ条
- 一、わが家のハルラボ商店の「こんなもの食べたい!」という思いやお客様の声からつくります。
- 一、生産地、生産方法、生産者、味など、じっくり丁寧に選定し、安心できる原材料を使ってつくります。
- 一、ご家庭でも再現しやすいように、台所にある調味料や食材だけでつくります。
- 一、特別な物でなく、家庭の味として毎日食べてもらえるような味を意識してつくります。